(2019.1.19)
スタイル・カウンシルが好きだった。” ウォールズ・カム・タンブリング・ダウン ” は最高にカッコよかった。FMエアチェック仲間のタカちゃんは、” ロジャース ” が一番好きだったみたいだ。確かにそこは僕も悩んだところだ。
とある土曜日の午後、タカちゃんやケイどんと一緒に、片道10kmのK町にある貸レコード屋へ行った。僕は迷わず ” ホーム・アンド・アブロード ” を借りた。ところでケイどんは、なぜかファルコを借りた。 ロック・ミー・アマデウスとは真逆のキャラクターだったから、ちょっと意外な感じがした。
ユウどんちのステレオでダビングさせてもらうことにした。部屋に入ると、テレビではポール・ハードキャッスルの ”19” が流れていた。ダビングさせてもらっている間、ユウどんは「ボウイのビデオみっぺ」と提案してきた。僕らは肯いた。そして1時間半が経った。ダビングはとっくに終わっていた。GIGは佳境だ。窓に目をやると、黄金色の田圃がしんとしていた。僕は指をトントンさせながら、ヒロミツに頼めばよかったかな、と密かに思った。
ユウどんちのステレオでダビングさせてもらうことにした。部屋に入ると、テレビではポール・ハードキャッスルの ”19” が流れていた。ダビングさせてもらっている間、ユウどんは「ボウイのビデオみっぺ」と提案してきた。僕らは肯いた。そして1時間半が経った。ダビングはとっくに終わっていた。GIGは佳境だ。窓に目をやると、黄金色の田圃がしんとしていた。僕は指をトントンさせながら、ヒロミツに頼めばよかったかな、と密かに思った。

カセットを聴き流しながら、兄貴は咥え煙草で ” マイ・エバー・チェンジング・ムーズ ” がいい、と言った。僕は ” インターナショナリスツ ” や ” コール・ミー ” も意外にいいなあ、と少し昂揚していた。本棚からロッキング・オンを取り出し、パラパラとめくった。しかしポール・ウェラーのパンツは細かった。ミック・タルボットのそれも細かった。実に弱そうに見えた。いくら ” シャウト・トゥ・ザ・トップ ” と叫んだところでだ。その点ではジョン・ライドンやDr.ロバートの方がカッコイイと思えた。でも、ボンタンを履くのはちょっと勇気が要った。先輩に殴られるかもしれないからだ。
ところで、D.C.リーは美しかった。
***
上京後しばらくして、下北沢の床屋に通うようになった。ある日、好きなアーティストやバンドの話になった。僕は、スタイル・カウンシルが好きだった、と言った。そしたらお店の人は「おれはジャムが好きだったから、スタカンはすげえ中途半端で全然ダメだったね」と言った。彼は僕より10歳年上だった。僕は黙って話を聞いた。
家に帰って、ほとんど聴いてなかったジャムを聴いてみた。なんとなく彼の言うことが分かるような気もした。実は薄々感じていたことでもあった。でも、僕の宝物を一方的に否定されたような気もして、ちょっと悔しかった。そして僕は強がって、この “デビッド・ワッツ” はねえな、と少しひねくれてみた。
ところで、D.C.リーは美しかった。
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上京後しばらくして、下北沢の床屋に通うようになった。ある日、好きなアーティストやバンドの話になった。僕は、スタイル・カウンシルが好きだった、と言った。そしたらお店の人は「おれはジャムが好きだったから、スタカンはすげえ中途半端で全然ダメだったね」と言った。彼は僕より10歳年上だった。僕は黙って話を聞いた。
家に帰って、ほとんど聴いてなかったジャムを聴いてみた。なんとなく彼の言うことが分かるような気もした。実は薄々感じていたことでもあった。でも、僕の宝物を一方的に否定されたような気もして、ちょっと悔しかった。そして僕は強がって、この “デビッド・ワッツ” はねえな、と少しひねくれてみた。